ピアノの森の満開の下 [萌え]

「満開の桜の下──僕らの…最期の演奏会が始まる──」
櫻乃の命はあと、一週間。
布団の上でただ死を待たせるより、妹になにかしてやりたかった。
少しでもいい、人生を楽しいものに彩ってから終わらせてやりたかった。
だから、僕らは旅に出た。
二人きりの旅に──
運命に導かれるようにして手に入れた切符(チケット)。
それを手に、SLに乗ってたどり着いた先は、不思議な療養所(サナトリウム)。
療養所(サナトリウム)の住人、木花さんと共に僕と櫻乃は
残りの貴重な日々を過ごすことになる。
一日ごとに近づく死。
僕は、櫻乃の残りの人生の為、なにをしてあげられるのだろうか。
僕たちの──最後の一週間が始まる。
あやかし遊郭 〜花魁アマビエ民譚集〜 [萌え]

飯田 修(いいだ しゅう)は盲目の青年だった。
彼は日本一周旅行の最中、迷いこんだ山の中で運命的な出会いをする。
「わっちを前にして眼を開かぬとはなんたるフソンか」
ふと少女の声がして――まぶたにぽたり、滴が弾ける感触。
するとなんと、真っ暗だった修の視界がみるみる色づいていくではないか。
「にはは♪ 悪い気はせぬなぁ、きさまの初めて見た者がわっちとは」
「わっちの高貴なる姿、目に焼きつけるがよい――♪」
……それから数年。
修は文献を漁った結果、彼女が『アマビエ』という妖怪であろうことを突き止める。
もう一度彼女に会い、礼を言いたい――。
修はその思いから『彼女に会ったことがある』という男に話を聞くことにする。
「なぁ兄さん。妖怪とまぐわうことが出来る場所があるって言ったら信じるかい――?」